私の愛するわんこのお話

はじめまして。店長の(一人でやっております)あきばゆうきと申します。

私は小さい頃から動物が好きで、実家では犬のマルチーズを飼っていました。とっても目鼻立ちの整った美人さんでした。

もうかれこれ15年近く前の話ですが、彼女は10歳で心臓病を患いました。元気な頃は毎晩私のベッドで一緒に寝ていましたが、だんだん老衰していってからは、階段をつけてもベッドに上り下りできなくなっていました。ずっと呼吸が苦しそうでゼーゼーと言っていました。

しかし私たち家族は、特別な延命治療はせず投薬のみで自宅で看取ることを決めていました。彼女の生命力、運命を受け入れる覚悟をしていました。

5月の雨の寒い夜でした。もともと4階のベランダで人や車を眺めるのが好きな子でした。オシッコをする以外に雨の中わざわざベランダに出たがり、頑(かたく)なにじっと外を眺めていました。夜中になってもそれを何度も繰り返し、外に出してあげては体を拭いて温めてあげていました。好きなようにさせてあげたい気持ちと、冷えて風邪を引かせてはならないという葛藤の思いでした。

おそらく午前2〜3時頃だったと思います。私は眠さと寒さに勝てず、ベッドの布団にくるまって眠ってしまったのです。

ふと目が覚めたとき、右肩に温もりを感じました。びっくりしました。ベッドに上がれなかったはずの彼女が真横に居たのです。夢ではなく。いつものポジションで横を向いていました。

呼吸のゼーゼー音は、か弱くなっていました。まさかと思いましたが、もうお別れなのだと悟りました。お漏らししていたからです。私は号泣しながらナデナデするしか出来ませんでした。「ごめんね」という言葉しか出てきませんでした。

けれど、家族が来てくれて少し落ち着いた私は、最期には「ありがとう。」とちゃんと言えました。

今でも鮮明に思い出します。すっごく美人だったことを。右肩の横の温もりを。オシッコ混じりのベランダの匂いを。